新国立劇場が宮田慶子新芸術監督の10/11シーズン概要を発表

 新国立劇場運営財団は、2010/2011年シーズンの主催公演のラインナップを発表した。バレエ、オペラ、演劇の3部門とも芸術監督が新しくなるこの新シーズン、演劇部門では宮田慶子が芸術監督になる。宮田は「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」と題したシリーズで、日本の現代演劇の発展に大きな影響を与えた海外作品『ヘッダ・ ガーブレル』『やけたトタン屋根の上の猫』『わが町』『ゴドーを待ちながら』をすべて新訳で上演。また08年に上演されて演劇賞を総なめにした『焼肉ドラゴン』が再演されるのも話題だ。


 宮田慶子新芸術監督は、芸術監督就任にあたり、「広く親しんで頂ける劇場でありたい、そして何より、広く愛される演劇でありたいと願い、その一助となることが務めであると考えています。 さまざまな人生の姿や、物の考え方、表現の多様性に出会い、知的な刺激や感動を実感する喜びが、演劇の魅力です。その演劇ならではの魅力を最大限に展開していきたいという思いを基に、2010/2011シーズンのラインアップを組み上げ、その中のシリーズとして 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」 を企画いたしました」と語っている。また、シーズンの柱となる企画「JAPAN MEETS」については、「近代以降、百数十年に及ぶ時の流れの中で、世界の優れた演劇と出会うことで、日本の演劇は進化を続けて来ました。出会いは、時に衝撃と波紋を投げかけ、さまざまな化学反応を引き起こし、日本演劇という一本の木は、時代を映しながら、旺盛な生命力で枝を広げてきました。 大木となった現代の演劇状況の中で、今こそ、未来への確かな財産として、枝をたぐり、太い幹を再検証すると同時に、蓄積の上に立つ現在を提示したいというのが、このシリーズの主旨です」と述べている。
 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」で、近現代の名作を取り上げる一方で、井上ひさしの代表作『雨』を市川亀治郎・永作博美という顔合わせで上演する。また、作・青木豪、演出・宮田の組み合わせによるシーズン唯一の書き下ろし新作『おどくみ』が、10/11シーズンの最後を飾る。
 全体的にスタンダードな作品のラインナップで手堅くまとめたラインナップであり、演出についても『焼肉ドラゴン』をのぞくと、芸術監督の宮田をはじめ、松本祐子、森新太郎、栗山民也と、新劇畑の演出家が並んでいるのが印象的だ。
■新国立劇場2010/2011シーズン 演劇部門ラインナップ
2009年10月 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」I 『ヘッダ・ ガーブレル』
2009年11月 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」II『やけたトタン屋根の上の猫』
2011年1月 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」III『わが町』
2011年2月 『焼肉ドラゴン』
2011年4月 「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」IV『ゴドーを待ちながら』
2011年6月 『雨』
2011年6-7月 『おどくみ』

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