マレビトの会『アウトダフェ』

12月8日(金) ー 10日(日)
マレビトの会『アウトダフェ』
 劇場=三軒茶屋:シアタートラム
●作・演出=松田正隆
●出演=田中遊、武田暁、山本麻貴、枡谷雄一郎、F・ジャパン、山口春美、牛尾千聖、宮本統史
評価:★★★★★(Excellent)12/9(夜)所見
 松田正隆が京都の小劇場アトリエ劇研を拠点に、現代演劇の可能性を模索する集団として2003年に設立した劇団マレビトの会。その3度目の東京公演だ。年の瀬に入って今年のベストワンとも呼ぶべき舞台に出会えたことを感謝。年末ともなるとついつい頭を使わずに楽しめるエンターテインメント性の高い舞台を見たくなるが、この緊張感のある意欲的な舞台を見ずに年を越すのはあまりにももったいない。エンターテインメントは映画やテレビに任せて、舞台くらいは知性と感性をフルに働かせないといけないものを見るべきであろう。そんな舞台にひさびさに出会ったことは、いかに現代の演劇状況が危機的なものかを表す証拠といえるかもしれない。


 タイトルのアウトダフェとは異端審問での火あぶりのこと。松田はこれまでも故郷の長崎をもとにして隠れキリシタンや原爆をモチーフにした作品を過去にも描いたが、今回の作品ではテレビ番組のレポーターとして取材に訪れたチェルノブイリについてもイメージとして取り込み、贖贖罪のために業火に焼かれた人々の記憶を甦らせる、という作品を作り上げた。

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