文化庁は平成21年度(第64回)文化庁芸術祭賞を決定、演劇部門では大賞に大滝秀治、優秀賞に森 新太郎、MONO、青年団、新人賞にKAKUTAの桑原裕子、宝塚歌劇団の霧矢大夢を決定した。
芸術祭は、文化庁が広く一般に優れた芸術作品を鑑賞する機会を提供するとともに、芸術の創造と発展を図り、我が国文化の向上と振興に資するため、昭和21年から実施しているもの。今年は平成21年10月2日(金)から11月10日(火)の期間に、関東・関西で行なわれた公演を対象に行われ、演劇では52件の参加作品があり、高い独創性や企画性などを基準として、審査が行われた。
大賞に選ばれた大滝秀治の作品は、落語の名作を別役実が大滝のために書き換えたもので、大滝の柔軟な演技が高く評価された。
授賞式は関西参加公演の受賞者については、平成22年1月18日(月)午後4時から、ホテルニューオータニ大阪で、関東参加公演及び参加作品の受賞者については、平成22年1月27日(水)午後4時から、如水会館で行われ、受賞者には賞金(大賞:60万円、優秀賞:30万円、新人賞:20万円)が贈られる。
各賞の受賞者と受賞理由は以下の通り。
区 分 | 受賞者 | 受 賞 対 象 | 受賞理由 |
---|---|---|---|
大 賞(関東参加の部) | 大滝秀治 | 劇団民藝公演「らくた?」における演技 | 同名の落語を別役実が書き換えた新作で、演じたのは男1。大家であったが、義理の息子の借金から長屋 を追われ、クズ屋となる。漂うように生きる男1には義理の息子殺しの嫌疑もかけられている。何が本当で何 が嘘か。潔白なのか、そうではないのか。最後の死んでいるのか、生きているのか、本人にも分からないよ うな、立ちつくしたままでの死まで、柔軟な演技で曖昧模糊とした世界を見事に体現した。 |
大 賞(関西参加の部) | 該当なし | ||
優秀賞(関東参加の部) | 森 新太郎 | 演劇集団円公演「コネマラの骸骨」の演出 | 「コネマラの骸骨」は実に刺激的な舞台た?った。謎解き、表面には見えにくい人間の心の奥底、突然的に起きる暴力的行為。狭い地域に住む人々に限らない現代人の複雑な人間関係。そんな要素を、時に喜劇的に処理した森新太郎の演出か?刺激的た?った。墓堀りの場面、白骨を叩き割る場面なと?も印象に残る。久しふ?りに骨のある芝居を見た。 |
優秀賞(関西参加の部) | 有限会社キューカンハ?ー | MONO特別企画vol.4「チェーホフを待ちなか?ら」の成果 | チェーホフの初期一幕もの戯曲4編を、現代の日常のト?ラマに巧みに翻案。ちょっと意地悪な人間観察に基つ?くチェーホフの喜劇性をスタイリッシュにつかみた?して見せた。男優は?かり5人の息のあった演技のアンサンフ?ルか?、戯曲の遊ひ?心と知的なたくらみを的確に立体化。小ふ?りた?か?凝縮度の際た?った舞台に仕立てた。 |
優秀賞(関西参加の部) | 青年団 | 青年団第59回公演「東京ノート」の成果 | 国際美術館の展示場か?、そのまま劇中の美術館のロヒ?ーとなった。隣のヘ?ンチの来館者の話を漏れ聞くように、観客は耳をそは?た?てる。初演以来の出演者か?自らのことは?のように台詞を発する。一昨年の改稿か?作品を研き?すまし、フェルメールの名画、カメラ・オフ?スクラ、登場人物の使うテ?シ?カメ等を通して、人間か?世界を〈視る〉恣意性を焙りた?した。 |
新人賞(関東参加の部) | 桑原裕子 | KAKUTA公演「甘い丘」の作・演出 | 優しさとは何か。桑原裕子の芝居は、いつも問いかけてくる。「甘い丘」も、それそ?れ生きつ?らさを抱える工場労働者たちの、不器用な優しさか?描かれた秀作た?。文句なしの大型新人、桑原裕子。これからは本谷有希子・江本純子らと共に、次世代の女性演劇人として、ますます暴れてほしい。小さくまとまらす?に。 |
新人賞(関西参加の部) | 霧矢大夢 | 宝塚歌劇 月組公演における演技 | 「ラストフ?レイ」は重圧からコンクールの演奏中に倒れ、ヒ?アノを弾けなくなったヒ?アニストの青年と刑務所帰りの青年との男同士の友情を描いたミューシ?カル作品。月組トッフ?の瀬奈し?ゅんのサヨナラ公演て?あるか?霧矢は確かな演技力と安定感の増した歌、タ?ンスて?二番手としての役割をしっかり踏まえ舞台を支えた力量に成長の跡を感し?させた。次期トッフ?とのことて?もありもう一回り飛躍か?期待て?きるとして受賞とした。 |
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