アメリカのメディアが伝えるところに寄ると、現代アメリカを代表する劇作家・俳優のサム・シェパードがケンタッキー州の自宅で7月27日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に伴う合併症のため死去。73歳。家族の代理人が31日明らかにした。
1943年イリノイ州生まれ。劇作家として60年代からニューヨークのオフ・ブロードウェーで活動をはじめた。1979年にピュリツァー賞を受賞した戯曲「埋められた子供」など、現代アメリカの荒廃した家族を描くこと高い評価を受けた劇作家。また、俳優活動でも知られ、映画「ライトスタッフ」(83年)では世界初の超音速飛行を達成した空軍パイロットのチャック・イェーガー役を演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
サム・シェパードの訃報を伝える米PBSのニュース PBS / YouTube
サム・シェパード Sam Shepard | |
---|---|
映画『ステルス』の撮影現場にて | |
本名 | Samuel Shepard Rogers III[1] |
生年月日 | 1943年11月5日 |
没年月日 | 2017年7月27日(73歳没) |
出生地 | アメリカ合衆国 イリノイ州フォート・シェリダン |
死没地 | アメリカ合衆国 ケンタッキー州 |
職業 | 俳優、劇作家 |
主な作品 | |
『ライトスタッフ』 『ブラックホーク・ダウン』 『ジェシー・ジェームズの暗殺』 |
サミュエル・”サム”・シェパード・ロジャース3世(Samuel "Sam" Shepard Rogers III、1943年11月5日 - 2017年7月27日[2])は、アメリカ合衆国イリノイ州出身の俳優・劇作家。俳優としてよく知られているが、本職は劇作家である。
1960年代にニューヨークに移り、書いた戯曲がオフ・オフ・ブロードウェイなどで上演され、何度もオビー賞を受賞した。1979年には戯曲『埋められた子供』でピューリツァー賞も受賞している。
1978年の『天国の日々』あたりから俳優として映画に出始め、『ライトスタッフ』ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされてもいる。
私生活
女優のオーラン・ジョーンズと結婚していたが離婚して、1982年から2009年まで女優のジェシカ・ラングと暮らしていた[3]。
2017年7月27日、自宅で筋萎縮性側索硬化症により死亡した[4]。
戯曲
- ロック・ガーデン The Rock Garden (1964年)
- 4Hクラブ 4-H Club (1965年)
- イカルスの母 Icarus's Mother (1965年)
- 赤十字 Red Cross (1966年)
- Operation Sidewinder (1970年)
- 埋められた子供 Buried Child (1977年)
- 飢えた階級の呪い Curse of the Starving Class (1978年)
- トゥルー・ウエスト True West (1980年)
- フール・フォア・ラブ Fool for Love (1983年)
- A Lie of the Mind (1985年)
映画脚本
- 砂丘 Zabriskie Point (1970年)
- パリ、テキサス Paris, Texas (1984年)
- フール・フォア・ラブ Fool for Love (1985年)
- アメリカ、家族のいる風景 Don't Come Knocking (2005年)
出演作品
映画
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1978 | レナルド&クララ Renaldo and Clara |
ロデオ | 追加台詞(当初は脚本での参加予定であった)。 |
天国の日々 Days of Heaven |
チャック(農場主) | ||
1980 | レザレクション/復活 Resurrection |
カル | |
1982 | 女優フランシス Frances |
ハリー・ヨーク | |
1983 | ライトスタッフ The Right Stuff |
チャック・イェーガー | |
1984 | カントリー Country |
ギル・アイヴィー | |
1985 | フール・フォア・ラブ Fool for Love |
エディ | 脚本/原作/出演 |
1986 | ロンリー・ハート Crimes of the Heart |
ドク・ポーター | |
1987 | 赤ちゃんはトップレディがお好き Baby Boom |
ジェフ・クーパー | |
1989 | マグノリアの花たち Steel Magnolias |
スパッド | |
1990 | ブライト・エンジェル/旅立ちの予感 Bright Angel |
ジャック | |
1991 | ボイジャー Homo Faber |
ウォルター | |
ディフェンスレス/密会 Defenseless |
|||
1992 | サンダーハート Thunderheart |
フランク | |
1993 | ペリカン文書 The Pelican Brief |
トーマス・キャラハン | |
1994 | 運命の絆 Safe Passage |
パトリック・シンガー | |
1995 | ワイルド・メン The Good Old Boys |
ターネル | テレビ映画(TNT) |
荒野の追跡者・ラレード通り Streets of Laredo |
ピー・アイ・パーカー | テレビ映画(CBS) | |
1997 | イン・マイ・ライフ The Only Thrill |
マクヘンリー | |
1998 | ニューヨークの亡霊 Curtain Call |
ウィル | |
1999 | ゴースト・アウトローズ Purgatory |
フォレスト保安官/ワイルド・ビル・ヒコック | テレビ映画(TNT) |
三十年の愛 ハメット&ヘルマン Dash and Lilly |
ダシール・ハメット | テレビ映画(A&E) | |
ヒマラヤ杉に降る雪 Snow Falling on Cedars |
アーサー・チェンバーズ | ||
2000 | ハムレット Hamlet |
幽霊 | |
恋と疑惑の果てに One Kill |
ネルソン・グレイ | テレビ映画(CBS) | |
すべての美しい馬 All the Pretty Horses |
J. C. フランクリン | ||
2001 | プレッジ The Pledge |
エリック・ポラック | |
ソードフィッシュ Swordfish |
ライズマン上院議員 | ||
心臓を貫かれて Shot in the Heart |
フランク・ギルモアSr | テレビ映画(HBO) | |
ブラックホーク・ダウン Black Hawk Down |
ガリソン | ||
2002 | レオポルド・ブルームへの手紙 Leo |
ヴィック | |
2004 | きみに読む物語 The Notebook |
フランク | |
2005 | アメリカ、家族のいる風景 Don't Come Knocking |
ハワード・スペンス | 脚本/原案/出演 |
ステルス Stealth |
ジョージ・カミングス | ||
2006 | バンディダス Bandidas |
ビル・バック | |
2007 | ジェシー・ジェームズの暗殺 The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford |
フランク・ジェームズ | |
2008 | プリズン・サバイブ Felon |
ゴードン | |
New York 結婚狂騒曲 The Accidental Husband |
ワイルダー | ||
2009 | マイ・ブラザー Brothers |
ハンク・ケイヒル | |
2010 | フェア・ゲーム Fair Game |
サム・プレイム | |
7デイズ Inhale |
ジェームズ・ハリソン | ||
2011 | ブッチ・キャシディ -最後のガンマン- Blackthorn |
ジェームズ | |
2012 | デンジャラス・ラン Safe House |
ハーラン・ホイットフォード | |
ジャッキー・コーガン Killing Them Softly |
ディロン | ||
MUD -マッド- Mud |
トム・ブランケンシップ | ||
2013 | 8月の家族たち August: Osage County |
ビバリー・ウェストン | |
ファーナス/訣別の朝 Out of the Furnace |
ジェラルド・"レッド"・ベイズ | ||
2014 | コールド・バレット 凍てついた七月 Cold in July |
ベン・ラッセル | |
2015 | 涙のメッセンジャー 14歳の約束 Ithaca |
ウィリアム・グローガン | 日本劇場未公開、WOWOWで放映 |
2016 | 疑わしき戦い In Dubious Battle |
ミスター・アンダーソン | |
ミッドナイト・スペシャル Midnight Special |
カルヴィン・メイヤー |
テレビシリーズ
放映年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
2014 | クロンダイク・ゴールドラッシュ Klondike |
ジャッジ神父 | ミニシリーズ、計6話出演 |
2015-2016 | BLOODLINE ブラッドライン Bloodline |
ロバート・レイバーン | 計6話出演 |
著作
- 諏訪優、菅野彰子 訳『ディランが街にやってきた―ローリング・サンダー航海日誌』サンリオ、1978年。
- ボブ・ディランを中心とするライブツアー「ローリング・サンダー・レヴュー」に同行した様子を、主観的に綴っている。
- 畑中佳樹 訳『モーテル・クロニクルズ』筑摩書房、1986年10月24日。ISBN 4-480-83086-3。
出典
- ^ Shewey, Don (1997). Sam Shepard. Perseus Books Group. ISBN 9780306807701. オリジナルのApril 14, 2017時点におけるアーカイブ。 December 14, 2015閲覧。[リンク切れ]
- ^ “訃報 サム・シェパードさん73歳=米劇作家、俳優”. 毎日新聞 (2017年8月1日). 2017年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月5日閲覧。
- ^ “1982年から交際していたジェシカ・ラングとサム・シェパードが別れていたことが発覚”. シネマトゥデイ (2011年12月20日). 2024年11月5日閲覧。
- ^ “サム・シェパードが死去。ライター、カウボーイ、真の意味での愛国主義者”. Yahoo! JAPANニュース (2017年8月1日). 2024年11月5日閲覧。
外部リンク
- サム・シェパード - allcinema
- サム・シェパード - KINENOTE
- Sam Shepard - IMDb
- Sam Shepard - インターネット・ブロードウェイ・データベース
- Sam Shepard - Internet Off-Broadway Database
- Sam Shepard - Bucknell University